そして、ボクがこの連載を通して感じた最も大きなメリットは、自分の周囲で起きた大きな出来事に対して、ある程度の「区切りがつけられる」ということだ。

 それを最も感じたのが「父親の死」だった。昨年、大好きだった父親が亡くなった時、ボクはつらすぎて、しばらくの間、気持ちがズンと沈んでいた。妹から電話を受けた瞬間の衝撃は、今でも忘れられない。

「父親の死」という自分の人生の中での大きな変化について一体どう発信をするべきなのか、当時のボクはかなり迷っていた。SNSなどの短い文章でつづるのも違う気もしたし、テレビやYouTubeなどで気軽に話すテーマでもない。それに中途半端にそのことに触れてしまうと、追加で取材依頼がきてしまったり、ネットニュースなどでボクの意図とは違う形で切り取られる可能性もゼロではなかった。それは絶対に避けたかった。

 そんな時、「父親の死」のことを発信するのは、この連載だけにしよう、そう決めた。追加の取材依頼などがこないように、ボクの気持ちを余すことなく、すべて伝えればいいんだってね。ただ、その時はまだ気持ちは沈んだままだったから、連載の内容について担当者と話すたびに、終始涙がとまらなかったことを覚えているよ。

 数日後、「父親の死」についての連載は公開された。ありがたいことに公開直後から、多くの人の目に届き、共感するコメントをたくさんの方からいただいた。広島にいる母親からも「連載を読んだよ。ありがとう」と電話があった。なんだかボクは、うれしくてまた泣きそうになった。

 そんな周囲の反響を体感するうちに、ボクの沈んだ気持ちはだんだんと落ち着いてきた。この連載のおかげで、ボクは「父親の死」をしっかり受け止めることができたんだ。そのことを振り返ると、改めて連載を担当することができてよかったと心から思う。

 ボクの連載を一度でも読んでくれた人たちや関係者の方たちには、もう感謝しかない。ボク自身も、たくさんの勇気をもらえました。また機会があれば、連載にはチャレンジしてみたいなー。ほんとに、今までありがとうございました! これからもボクの活動に、期待しててほしいしん!

(構成/AERA dot.編集部・岡本直也)

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