「新NISAの資産をいつ、どんなふうに売ればいい?」という疑問に答える記事。運用資産の効率的な引き出し方を37年分のデータ検証から探る。
【図表4つ】「全世界株式とS&P500老後の引き出し率37年分検証」はこちら!
SBI証券投資情報部シニア・ファンドアナリストの川上雅人さんに「投資信託の老後の引き出し方」を取材した。
一番単純なのは「お金が必要になったら必要な分だけを売却する」やり方。だが、迷いなく売却できるか不安な人もいるだろう。
「今すぐ絶対に必要なわけじゃないけど、適宜お金を使っていきたい。ちょっぴり贅沢も、したい」という人もいる。
「今、売っていいのかな」
投資信託のつみたてだけを続けてきた人は60歳になっても売却経験がないわけで、「今、売っていいのかな」などと悩む人もいそう……。
「まず2000万円など老後のお金の目標金額を決めます。その金額に達したら、超過分を売却して安全資産に回し、徐々にリスクを減らしていくのはどうでしょう」
安全資産としてバランス型や債券の投資信託を買い直す(株式の投資信託から切り替える)ことを勧める人もいるが、本誌はシンプルに預貯金でいいと考える。個人向け国債の変動10年もいい。2024年6月募集分の金利は年0.69%(税引き前)だ。
川上さんは「定額で毎月〇万円、定率で資産残高の〇%といったルールを決めて取り崩すのもいいですよ」と言う。
「定額」はいつも同じ金額となるが、暴落時にも同じ金額を引き出すことになり、途中で資産が枯渇する恐れがある。
「定率」引き出しのほうが資産は長持ちするが、暴落した年には引き出すお金そのものが少なくなる。
定率が長持ちする
「定額のほうがわかりやすいです。定率なら資産残高の6%ずつを年に1度、引き出すのが無難でしょう。全世界株式の長期平均リターンが年率約6%である、という過去のデータを参考にしています。定率は定額より長持ちします」
では、過去のデータを使った投資信託引き出しシミュレーションを紹介しよう。このシミュレーションは、ニッセイ基礎研究所の前山裕亮さんにお願いした。