金融ジャーナリストの岡村友哉〈ゆうや〉さん(写真/本人提供)
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 新NISAで買われる日本株では高配当株が人気だ。本記事では、通常非公開の新NISAデータから、配当も株価も上がりそうな「いい高配当株」を探すコツを紹介。

【図表3つ】新NISA開始3カ月で買われた高配当株ベスト30はこちら!

 配当利回りの高さで買われているのはどんな銘柄か。2024年1~3月、ネット証券大手5社の新NISA口座で実際に買われた高配当株をランキングした(本記事2ページ目の表参照)。

 といっても「高配当株」というカテゴリーがあるわけではないので、いったん「新NISAで買われた日本株」上位100銘柄をネット証券5社分合計。これらの延べ500銘柄を配当利回り順に並べ替えて、高い順に30銘柄を抽出してある。

新NISA3カ月で買われた日本株(リンク有)」を集計した時点では、上位に超有名企業が並んだが、この配当利回りランキングは知名度の低い銘柄も上位に入った。正直、「ちょっと珍しい銘柄はないか?」という好奇心から調べた面もある。

怪しい株はない

 まず、経済のプロ2人に所感を聞いた。金融ジャーナリストの岡村友哉さんは、「パッと見て、配当利回りが高く内部留保(純利益のうち配当などに回さず貯めているお金)もある銘柄が多く『怪しい株』はありません」。

 SBI証券投資情報部長・鈴木英之さんは「配当利回りだけでなく、減配リスクや連続増配に対する意欲も見て買っている様子がうかがえます」。

 連続増配記録を途切れさせないため、増配幅を1円、2円と小出しにする企業もあるが、そういった「ズルい銘柄」はそこまで買われていない。

 1位はPHCホールディングス。PHCはパナソニックヘルスケアの英語の頭文字だ。パナソニックのヘルスケア部門が前身で、新型コロナ流行期にPCR検査を受託。

 2位の三ツ星ベルトは、「創立1932年の長生き企業ですが、高配当が『期間限定』になる可能性もある」(岡村さん/以下同)。

 三ツ星ベルトは2022年5月に「今後2年間は利益の全額を配当に充てる」と発表。株価は今年2月27日に高値5020円(2022年5月当時の株価の約2.5倍)まで上昇した。大盤振る舞いはいつか終わる……かも。

SBI証券投資情報部長の鈴木英之さん(撮影/朝日新聞出版写真映像部・上田泰世)
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高配当株の「賞味期限」とは