3人の逮捕容疑は、告示日の4月16日、JR亀戸駅前で、乙武洋匡候補(48)の演説中に、電話ボックスに上がって拡声器の大音量で演説を妨害したというもの。電話ボックス上で仁王立ちになった黒川代表の姿が繰り返し報道された。乙武陣営だけでなく、 立憲民主や国民民主など主要政党の候補者陣営から警視庁に被害届けが出ているとされる。
日本維新の会から立候補した金澤結衣氏も被害に遭っていた。東京維新の会の金澤陣営担当者は「うちの陣営でも警視庁に被害届けを出し、もう受理されています」と明かす。
同党の音喜多駿政調会長は応援演説に駆け付けた際に体験した選挙妨害の実態を話した。
音喜多氏は、選挙カーから降りたとたんに、つばさの党のメンバーに囲まれた。
「お前、泣いてるんじゃないのか、写せ、写せ、びびってんじゃねぇよ」
そう叫ばれたという。囲まれていた時間はおそらく10分近く。
「ほっておけば、いつまでも(罵声が)続きそうな感じでしたね」
選挙には吉村洋文・大阪府知事も駆けつけ、金澤氏とともに選挙区内を練り歩いた。その現場にもつばさの党のメンバーが現れた。吉村知事らを追いかけ、接触しようとした。
「答えろ、吉村」
「万博のカネ返せ、吉村」
「このゴキブリども」
根本容疑者が口汚く罵りながら、2人の後をついて回った。
つばさの党が攻撃したのは、政党関係者だけに限らない。「青汁王子」として有名な実業家の三崎優太氏は昨年6月に被害に遭っていた。閑静な住宅街にある自宅前で、黒川容疑者らの街宣活動を受けた。黒川容疑者は拡声器マイクで、神社の神主が清めのために行う「祓詞(はらえことば)」を唱え、 その様子をYouTubeで生配信していたという。
三崎氏は当時、「このマンションには小さい子供もいる」と隣人を気遣い、「こういうカルト的な団体を放っておくとますます被害者が増えるばかりなのでは」という趣旨の話をした。
つばさの党の街宣は小池百合子都知事やロンドンブーツ1号2号の田村淳氏の自宅にも及んだ。