(左から)高橋里恩、坂東龍汰、清水尚弥(撮影/写真映像部・東川哲也)

清水:ありがたいな。光則って渉と英治と比べたら一番いそうな人なんだけど、それだけだとバランスが取れなくなっちゃうし、光則という人物も生きてこないから、3人の中でどう見えるか、作品の中でどう作用するのかはすごく考えて演じてた。

高橋:墓に3人で行く場面で、英治が供えられた花を見て、「この花、まだあんま枯れてないけどかえちゃっていいのかな」って言うんだけど、光則が「いいだろ」って。こわって思った。

坂東:植物とかね、全然大事にしてない感じね。光則が一番普通に見えて、一番怖いよね。本当にいそうな気持ち悪さがある。

強烈なのになぜか身近

清水:めちゃめちゃ利己的なんだよ、光則は。本当に三者三様で、強烈なキャラクターなのに、なぜか全員身近に感じられる。それって、二ノ宮さんのすごさだと思う。

高橋:渉なんか、何を話しても何の反応もない役だから、こっちも難しかったわ。

坂東:お地蔵さんみたいに、本当に動かなかった。

高橋:たまに英治が、渉の(義理の)親父のことを話したときだけ「お前、殺すぞ」って反応するくらい。あの親父への憎しみは何を思って演じてたわけ?

坂東:秘密です。

高橋:なんだよ、それ(笑)。覚えてないだけだろ?

坂東:まあね……(笑)。いやいや、秘密ですって言ったほうが、渉という人間がどう感じてたか、余白が持てるでしょ?

清水:正解は作らない、ね。

高橋:なるほどね。俺、今度から「秘密です」って言うわ(笑)。

清水尚弥(しみず・なおや)/1995年生まれ。出演作に「死んだ目をした少年」「ちはやふる―上の句―」など。主演の短編映画「竹とタケノコ」の公開を控える

坂東龍汰(ばんどう・りょうた)/1997年生まれ。2023年、「フタリノセカイ」で、日本映画批評家大賞新人男優賞を受賞。ドラマ「RoOT/ルート」(TX)、「366日」(CX)が放送中

高橋里恩(たかはし・りおん)/1997年生まれ。出演作に、「ファミリア familia」「東京リベンジャーズ」、ドラマ「家政夫のミタゾノ」(EX)など多数。「陰陽師0」が公開中

(構成/編集部・大川恵実)

AERA 2024年5月27日号より抜粋

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