転勤で結婚しづらい
労働政策研究・研修機構の「企業の転勤の実態に関する調査」(2016年)によると、「転勤で困難に感じること」として、「結婚しづらい」を挙げた人は、女性が38%、男性が27.3%だった。20代以下に限ってみると、女性54.1%、男性47.5%。
また、「子どもを持ちづらい」と感じるのは女性が48.8%、男性が28.6%。20代以下では、女性61.9%、男性44.7%だった。どの結果も女性の方が、困難を感じる割合が高かった。
妻が仕事を続けるために、夫が働き方や職場を変えるケースも増えつつあるが、まだまだ女性にばかり変化を求める風潮が強いということでもあるだろう。
AERAが実施したアンケートでも、妊娠、出産の時期と仕事の都合が重なり、何かをあきらめたという女性たちの声が数多く寄せられた。
神奈川県のパートタイムで働く女性(37)は、
「結婚を取るか、仕事を取るか、という場面があった。その時は仕事をしたかったので、結婚をあきらめました。そういえば男性で同じ悩みを抱えている人を聞いたことがないですね」
製造業の女性(33)は、
「仕事が落ち着いたら子どもを産もうと思い、転勤・後輩の産休・上司の休職など何かしらが発生している間ずっと待っているうちに、タイミングを逃してしまった」
金融・保険業界で働く女性(41)は、子どもをもう一人ほしかったが諦めたという。
「39歳で比較的早く管理職になり、今後はこのまま定年まで責任ある立場でいると思うと、メンタル的にも身体的にも不安になった」
と打ち明けた。(編集部・井上有紀子)
※AERA 2024年5月27日号より抜粋