ブルーライトは、太陽光に含まれる波長380~495ナノメートル前後の青色成分の光です。2021年に、 日本眼科学会は日本近視学会や日本小 児眼科学会などと連名で、小児に対するブルーライトカットメガネの効果について否定的な意見書を発表しました。

 他にも、ブルーライトが網膜を損傷するという話を聞いたことはないでしょうか。この話は科学的に証明されておらず、アメリカの眼科学会でも否定されています。そもそも、先ほども述べたようにブルーライトは太陽光にも含まれていますし、紫外線とブルーライトとの境界にあるバイオレットライトは、近視の抑制に効果があるともいわれています

 ただ、長時間画面を見ていれば目も脳も疲れますし、睡眠のことを考えると、ブルーライトを寝る前に浴びるのは好ましくありません。お子さんが幼ければ、絵本の読み聞かせがわりに動画を見せることもあるでしょう。

 小学校高学年ぐらいのお子さんであれば、夜遅くに自分のスマホをいじることもあるかもしれません。体内時計からすれば、寝る前のスマホは窓の外がいつまでもたっても明るいままになっているようなものです。眠りにつく時間が遅くなったり、眠りが浅くなって睡眠の質が落ちたりしても、仕方がありません。

 人の成長ホルモンが分泌されるのは夜、就寝しているときです。成長ホルモンは、日中の活動で傷んだ細胞の修復にも活躍します。

 睡眠不足が続くと発育にも影響が及びますし、前日の疲れがとれないままになり、学校生活も大変になります。寝坊すれば朝ごはんを食べる時間も削られてしまいますね。さらには、睡眠不足は自律神経のバランスの乱れにもつながります。

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松岡俊行

松岡俊行

松岡 俊行(まつおか・としゆき) 医学博士。眼科専門医。 大阪市出身。京都大学医学部医学科卒。2019年、大阪府吹田市に江坂まつおか眼科を開業。スマートフォンによる子どもの視力低下や、眼球運動、両眼視機能への悪影響などを懸念し「スマホアイ」と称して警鐘を鳴らす。

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