そして、本職の野球でも、イ・デウンは最速155キロの速球を武器に旋風を起こす。3月29日の開幕第3戦に先発し、6回1/3を4失点で来日初勝利を挙げると、5月末までの2ヵ月で6勝を挙げた。

 その一方で、四球で自滅する欠点から防御率5点台と安定感を欠いたが、6月にチーム事情から中継ぎに回ると、同28日のオリックス戦で1対1の7回1死二塁のピンチに先発・大嶺祐太をリリーフ。後続2人をピシャリと抑え、直後、味方が勝ち越したことから。チームトップの7勝目を手にした。「抑えられて、さらに勝ち星も付いてうれしい」。翌日の日刊スポーツは「Mの勝ちメン デウン様」の大見出しで報じている。

 同年は37試合に登板し、9勝9敗4ホールド、防御率3.84を記録したが、翌16年は登板わずか3試合にとどまり、シーズン中の10月4日、兵役のため帰国した。

 兵役を終えた18年、ドラフト1巡目指名でKTに入団し、4勝17セーブを記録。21年限りで現役を引退した。(文・久保田龍雄)

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