清水弁護士は、

「まさに前澤さんの意見の通りです。日本の法律や文化的背景に詳しい人材が必要なのですが、では、いったい誰に任せるのかという問題があります。ネットの問題を扱う弁護士が適任になるのでしょうが、大手法律事務所が対応するとすれば、プラットフォーム側の代理人になっていることも多いため、利益相反の問題も出てくるのではないでしょうか」

 と指摘する。

メタ社、X社以外のネット掲示板は?

 巨万の富を築いている企業に対し、1億円が上限の罰則をどう見るか。また、メタ社やX社以外に、誹謗中傷が横行してきたネット上の掲示板を対象とするのかも、大きな焦点になると清水弁護士は話す。“野放し状態”が続けば、状況はあまり変わらないかもしれない。

「プラットフォーム側が基準や運用状況を公表し、国民がそれを監視する。それにより、状況がいい方向に向かってほしい。それが今回の法改正の趣旨だと思います」(清水弁護士)

 誹謗中傷を少しでも減らすための努力が、この先もまだまだ必要ということなのだろう。

(國府田英之)

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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