ディランさんが作っているデータベース(https://www.dcpdata.org/)。ここからわずかだが収入も得ているという

インターナショナルデータベースをつくる

 子どもが妥当な数であれば、こうしたやりとりは「純粋に心を豊かにする充実した経験になることは間違いない」とディランは考えている。子どもの数が多すぎる今は、子どもにアンフェアであると感じる。子どもに接する時間が非常に限られるからだ。

 子どもの多くは毎週ディランと電話で話したいと思っているという。

「もし私が一人一人の子どもと毎週電話で話すとしたら、文字通り毎週46時間を費やすことになってしまいます」

 現在、自分のプログラミング能力を使って、donor conceivedの子どものためのインターナショナルデータベースを構築する会社を作ろうとしているところだ。

普通の生活が困難になった

「子どものことが気になりすぎて、ソフトウェアエンジニアの仕事に集中できなくなりました。素晴らしい仕事でしたが、常に多くの子どもが脳の片隅で走り回っている状態で、普通の生活をするのが困難になったんです」

 精子提供を始める前に、「子どもがたくさんできることがどれほど大変なことになるのかを精子バンクに説明してほしかった」と怒りを込めて話す。

 学生時代の彼は、学費のため、精子バンクに言われた「人助けになる」という理由だけで、「軽々しい気持ちで提供していた」からだ。

年齢を25歳に引き上げるべき

 ディランは、すべての精子バンクに、「提供できる年齢を最低25歳に引き上げること」を提案したいという。その年齢であれば、学生に比べて金銭が動機になりにくい。また、ドナーのスクリーニングももっと厳格にすべきだという。

 精子提供をすることがどれほど重大で、大きな覚悟が必要か。「自分の子どもがどんどん増えていくことがどういうことか、十分理解していなければ精子提供をすべきではない」とディランは言う。

「精子バンクの存在や精子提供に反対しているわけでは決してありません。でも提供者が20歳では若すぎて、事の大きさを理解することはかなり難しいと思います」

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