「選挙妨害」か「表現の自由」か――。4月28日に投開票された衆院東京15区(江東区)補欠選挙で、他政党の演説会場で大音量のヤジを飛ばしたり、選挙カーを車で追いかけまわしたりするなどの行為が批判されていた政治団体「つばさの党」。警視庁は13日、事務所や黒川敦彦代表(45)、補選に立候補した根本良介幹事長(29)それぞれの自宅計3カ所に、公職選挙法違反(選挙の自由妨害)容疑で家宅捜索に入った。選挙期間中、現場で取材していた記者が当時の“妨害”の様子を振り返る。
【写真】そもそも載っていいの?公衆電話ボックスの上から大音量で“妨害”
4月8日、都民ファースト、国民民主が推薦した無所属の乙武洋匡氏や応援に来た小池百合子都知事の街頭演説会。根本氏は大音量で乙武氏の声を遮った。
根本氏は、小池知事に対しては、
「カイロ大学を卒業しているのかちゃんと説明しろよ、おい、小池。開き直ってんじゃねーぞ」
などとがなりたてた。
卑猥な言葉で“妨害”
別の日の乙武氏の演説のときも、ずっと大音量で声をかぶせ、乙武氏の過去の女性問題についてヤジを飛ばし、卑猥な表現を使うなどして“妨害”していた。
彼らの“選挙運動”は後半戦に入っても続いた。
23日夕、立憲民主党の酒井菜摘氏の街頭演説会場で取材していると、応援弁士の演説が始まったところでつばさの党の選挙カーが現れた。
根本氏は大音量で、
「酒井さん、消費税上げるって言ってるけど、本当ですか。消費税上げないで下さい。ウソつかないでください」
などと声を上げた。
根本氏はさらに車から降りて、会場にいた人混みをかきわけるように酒井氏にぐんぐんと近づいていった。その場にいた立憲陣営のスタッフや聴衆が食い止めていたが、強引に接近すると、
「さっき、玉木さん(国民民主党代表)は答えてくれた。質問に答えてくれればオレらは違う所に行く」
と声を張り上げていた。
押し問答になっていると、聴衆からは「点字ブロックの上は空けてください」「邪魔するなよ」「あんた(根本氏)の話を聞きに来たんじゃないんだよ」「警察を呼べ」と怒号が挙がったが、それでも根本氏は引き下がらず、こう言い放った。