無駄な経費も節税に? イラスト/福田玲子
この記事の写真をすべて見る

 世のフリーランスや経営者仲間でよく語られているのが、「赤字にすれば税金を払わずに済む」という話。確かに赤字なら所得税や法人税を払うことはなく、地方税も最低限度額の支払いで済みます。しかし、税金さえ減らせれば本当にいいのでしょうか。税理士・廣岡実さんは「無駄な経費を使って節税する人は成功しない」と話します。廣岡さんの著書「お金と税金のことが90分でわかる本」(アスコム刊)から、目先の節税よりも利益の確保が大事であることを紹介します。

【写真】経費削減が問題になるのは我々だけではない。宮邸の改修も?

*  *  *

 もし利益100万円の人が90万円経費を使ったら

 フリーランスの人で今、簿記会計で算出した利益が100万円あるとします。仮に算出された所得税をわかりやすく10%とします。この10万円の所得税を「節税」したいとします。それには経費を使えば利益は減ります。仮に90万円としましょう。すると儲けは100万から10万円に減ります。所得税もその10%ですから1万円になります。

 10万円の所得税が1万円に減りました。よかった、よかった……となるのでしょうか?

 確かに税金は9万円も節税になりました。

 では、手元に残ったお金はどうでしょう? もともと節税をしなかった時は100万円引く10万円の所得税で90万円の儲けが残りました。現実的に必ずしもこの儲けを構成するのはお金だけでなくその他の資産もありますが、時間がたつと必ずこの利益に相当するお金は残ります。

 9万円節税できても手元に残るのは9万円

 しかし、節税をしたことで90万円は経費として確実にお金が減っています。納税は1万円で済みましたが、手元には9万円しか残りません。果たして、これでいいのでしょうか?

 納付する税金を減らすことよりも手元に残すべきお金を多くすることのほうが大事なのではないでしょうか?

 バンバン経費を使って法人税は節税できたが、気づけば資金繰りが苦しくなってしまった上に後から税務調査が入り、経費が否認されて追徴課税も取られてしまった、という笑えない話も実際あります。

著者プロフィールを見る
廣岡実

廣岡実

廣岡実(ひろおか・みのる)/税理士法人TOTAL神田事務所所長・税理士。1959年生まれ。神奈川県出身。明治大学商学部を卒業後、大手商社に就職。経理・総務部門の実績を積む。税理士だった父親の病気をきっかけに退職し、父の事務所で修行。95年に税理士資格取得と同時に独立。2024年1月より税理士法人TOTALのパートナとして合流し、神田事務所所長となる。「みんなが儲けてほしい」をモットーに、顧客に寄り添ったきめ細かいアドバイスが人気を集めている。

廣岡実の記事一覧はこちら
次のページ
確かに税金が高いと悲しくなるのだが