「柱」になるための試金石
のちのエピソードで、風柱・不死川実弥(しなずがわ・さねみ)が、「下弦の壱(=1)」を仲間とともに倒し、その戦闘で生き残った自分だけが、柱になったと回想する場面がある。これによって、先に述べた耀哉の言葉の通りであることがわかる。
さらに、彼の実弟である玄弥も、刀鍛冶の里の戦いの最中に、炭治郎に向かって「上弦を倒すのは…俺だ!!!」「お前なんかよりも先に俺が… 柱になるのは俺だ!!!」と怒鳴る場面があった。やはり「十二鬼月」との戦闘を重視している。
「上弦の陸(=6)を倒したのはお前(※炭治郎のこと)の力じゃない だからお前は柱になってない」(不死川玄弥/13巻・第113話)
玄弥を含む一般隊士たちも、柱になるための条件をそのように理解していることが、話中で示されていた。
炭治郎の「十二鬼月」との戦闘経験
刀鍛冶の里で、炭治郎は「上弦の肆(=4)」の半天狗を見事に討ち取っていた。それ以前の戦闘をかえりみても、水柱・冨岡義勇の助けを借りて「下弦の伍(=5)」の累と戦い、炎柱・煉獄杏寿郎と仲間の善逸の助力を得ながら、伊之助とともに「下弦の壱(=1)」魘夢を倒した。さらに、遊郭の戦いでは、音柱・宇髄天元、伊之助、善逸と一緒に「上弦の陸(6)」の妓夫太郎・堕姫に勝利している。
「遊郭の戦い」シリーズまでは、炭治郎は柱からの手助けをかなり必要としていて、決め手に欠ける様子が見受けられたものの、半天狗本体の首は、炭治郎自身が斬り落としている。新しく手に入れた日輪刀の作用も大きいのだが、ここにきて炭治郎の実力が上昇していることは明らかである。
炭治郎が持っている「引きの強さ」やこれまでの戦闘経験をあわせてみれば、炭治郎が柱になることも、それほど不思議なことではないように思える。しかし、それでも炭治郎はまだ柱になる様子はない。それはなぜなのか。