一方の平野も開幕から8試合連続無失点と順調なスタートを切ったが、4月24日の西武戦では4安打を浴びて3失点。5月1日のロッテ戦では味方のエラーで自責点は0ながら5失点で負け投手となっている。走者は出しても最終的には抑えるというのが持ち味ではあるものの、このまま失点が続くようであれば大ベテランだけに後釜を考える必要はあるだろう。

 パ・リーグのそれ以外のチームを見るとアブレイユ(西武)、田中正義(日本ハム)はまずまずの成績を残しており、しばらく安泰と見られる。そして彼ら以上にここまで見事な投球を見せているのが今年先発から転向した則本昂大(楽天)だ。4月14日に体調不良で一度登録抹消されたものの、ここまで12試合連続無失点を継続しているのだ。基本的に1回限定になったことでストレートもフォークもスピードがアップしており、制球も安定している。チーム状態が上がってくれば、最多セーブのタイトル争いに加わる可能性も高い。

 こうしてまとめてみると、チームの成績とクローザーの成績は必ずしもリンクしているわけではないが、やはり9回を任せられる存在がいるというのは大きな強みであることは間違いない。今後、抑えが不安定なチームがどんな決断を下すかにも注目だ。(文・西尾典文)

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

[AERA最新号はこちら]