この「ドリーム・オン・アイス」には昨季全米選手権2位に入った世界ジュニア王者、17歳のイリア・マリニンが出演しており、練習中に跳んだ4回転アクセルの動画をインスタグラムにあげている。実際にマリニンの4回転アクセルを見た宇野は、刺激を受けるかという質問を受け「すごく安定していましたし、『間違いなく試合でたくさん取り入れてくるんだろうな』という完成度でした」と答えている。

「もちろん刺激にはなるんですけれども、ただ跳ぶだけでなくあれだけの成功率で跳ぶということは、あまりにも本当にすごすぎることで。自分の手が届きそうなものだったら刺激を受けるんですけど、あまりにすごすぎて客観視してしまうというか『すごいな』という感想でした」

 いつも優れた選手を素直に讃える宇野らしい感想を述べた後、今シーズンの目標について問われると、静かな闘志がのぞいた。

「マリニン選手もどんどん成長していますし、まだまだ若いんですけれども、僕もまだまだ気持ちは若いつもりでいますし。現状維持をしていけば、いつかは置いていかれてしまう。ちゃんと成長をしていく、そして去年からまだ成長できる余地があると自分では思っているので、そういったところを皆さんに見せられたらなと思っています」

 さらに成長する自分を信じる、宇野昌磨のシーズンが始まる。(文・沢田聡子)


●沢田聡子/1972年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。シンクロナイズドスイミング、アイスホッケー、フィギュアスケート、ヨガ等を取材して雑誌やウェブに寄稿している。「SATOKO’s arena」