「発酵食品のみそには塩分を排出する働きや、整腸作用や殺菌作用など多くの健康効果がある。具だくさんのみそ汁は、心身の健康を維持し、育むために必要な栄養素を十分にとることができます」

 では、実際に作ってみよう。水の量は、1杯で1人分、2杯で2人分と、使うわんの大きさで量ると早い。これに少量、蒸発する分をプラスする。驚きなのが、「わざわざだしをとらなくてもOK」ということだ。

「肉や貝、油揚げなど、うまみの強い食材が入れば、だしなしでも十分。私は、だしをとる煮干しも具材と一緒に鍋にかけて、そのまま具として食べてカルシウムをとってしまいます」

 みそは、全国的に最も多い赤みそを中心に、すっきり甘みが少ない豆みそ系、麹のうまみが強い白みそを混ぜて、気分に合わせて変化させると良い。暑い夏は、豆みその割合を増やせばすっきりと仕上がる。

「だし汁を使えば、塩気の角が落ち、まろやかで飲みやすくはなりますが、その時々の調子に合わせて自由に楽しんでみて。難しく考えなくても、基本的には湯にみそを溶けばみそ汁になる。みそは、どんな割合で溶いてもおいしくなるから大丈夫ですよ」

 肝心のみそ選びのポイントについてはこう語る。

「極端に安いものは、質の悪い材料が使われている可能性が高く、おススメできません。いいみそは醸されているのでお湯に溶けやすいのが特徴です」

 みそ汁の栄養価を左右するのは具材。そこで、食材の組み合わせ方のコツについて管理栄養士の圓尾和紀さんに教わった。圓尾さんは、食材の頭文字をとった「まごわやさしい」(豆類[豆腐、油揚げなど]・ごま、ナッツ類・海藻類[ワカメ、ひじきなど]・野菜・魚介類・キノコ類[しいたけ、えのきなど]・イモ類)をポイントとして挙げる。

「これらは日本人が昔から食べ続けてきた、健康を維持するための主な食材。日本人の体質に合うとされ、組み合わせることで栄養価が高くなります。最低でも2~3種類は組み合わせると良いでしょう」

 今の時期は玉ねぎ、空豆、春キャベツなど旬の野菜が豊富な季節。旬の食材は栄養価が高いため、積極的にとると良い。

「よくかむ習慣をつけるために、具材を大きめに切ったり、ゴボウやもやし、レンコンなど繊維質のものを入れるのもお薦めです」

週刊朝日  2017年6月2日号