AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。
* * *
Q:新聞を見てもテレビを見ても、悲惨なニュースばかりで怒りが止まりません。自分を守るために情報から距離を取った方がよいことはわかっていますが、ついSNSを見て怒りを倍増させてしまいます。自分ひとりが怒っていてもどうにもならないことはわかっていますが、あまりに悲惨なことを誰も止められないのがつらいです。どういう心持ちでいればよいでしょうか。(女性/会社員/52歳/しし座)
A:どうお答えするのがいいか、悩んで1日考えました。あなたが抱えている怒りは、本当にその通りだと思うから。
僕が今住んでいるマンションは、窓から大きい木が見えます。内見の時にその景色が気に入って、住むことにしたんです。それで、今回の相談について考えているときにふと思ったんです。この木を風景としてきれいだと思えるのは自分がマンションという安全で快適な世界にいるからなんだよな、って。もし夜に木の隣で寝たら当然虫も寄ってくるし、風の音が怖くなったり、雨が降ったりもします。快適さとは程遠いと思います。
何が言いたいかというと、本来僕らが住んでいる世界は、そもそもすべてがままならない世界だということです。みなさんに押し付けるつもりはないんですが、僕自身は、自分が抱えている怒りやままならなさを考えるときに、その前提を忘れないようにしたいと思っています。快適さの中にいると、そのことを忘れてしまいがちだからこそ。