中京大中京・宮内渉吾(写真提供・プロアマ野球研究所 PABB)

 センバツ高校野球が行われている最中の3月27日、「センバツ未出場組のドラフト候補! 注目は3人の“本格派右腕”、夏に向け“大化け”期待の選手も」というタイトルでセンバツには出場していない注目の高校生ドラフト候補を紹介した。それから約1カ月が経ったが、改めて春季大会で浮上してきた選手について、下級生も含めてピックアップしてみたいと思う。

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 前回の記事で取り上げた選手の中で評価を上げた印象を受けるのが小船翼(知徳・投手)と石塚裕惺(花咲徳栄・遊撃手)の2人だ。小船は3月30日に行われた地区予選の御殿場西戦では151キロをマークし、18奪三振で2失点完投。続く県大会初戦の浜松城北工戦では体調が万全ではなかったとのことだが、それでも県内公式戦の高校生歴代最速に並ぶ152キロを記録し、14奪三振で完封という圧巻の投球を見せている。198cm、110kgという日本人離れした体格でこれだけの出力があり、三振を奪えるというのも魅力だ。スケールの大きさでは今年の全カテゴリーの投手の中でも屈指と言えるだろう。

 一方の石塚は4月4日から行われたU18侍ジャパンの強化合宿で木製バットながら柵越えを連発。春の県大会でも5試合で17打数10安打、ホームラン1本を含む長打4本と反発力の弱い新基準の金属バットの影響を感じさせないバッティングを見せている。長打力と確実性を兼ね備えた打撃は今年の高校生の中でもトップと言える存在だ。ショートの守備も華麗なタイプではないが堅実で、脚力と肩の強さも備えている。将来の中軸候補が欲しい球団には垂涎の存在である。

 前回の記事で名前を挙げていない中からも、評価を上げてきた選手は少なくない。投手では昆野太晴(白鴎大足利)と井上剣也(鹿児島実)の2人を挙げたい。昆野は昨年秋もエースで4番として関東大会に出場しているが、この春は投手に専念して安定感がアップ。県大会の準々決勝、佐野日大戦では最速150キロをマークし、8回を投げて被安打2、11奪三振で無失点の快投を見せた。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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