周辺に米軍基地があり、やはりアメリカ人に合わせた街ができあがっている。街には軍服のアメリカ人など外国人が多い。街の規模も「安亭里ロデオ通り」とは比べ物にならないほど大きく、店舗も見どころも多い。韓国風の店舗とアメリカ風の店舗が一体化した街というイメージだ。飲食店だけでなく、市場という名前にふさわしく、アメリカ人が好きそうな服やカバン、生活用品が売られている。

「ミリタリールック店舗」もそのひとつ。近くに空軍基地があるので、ミリタリーファッションの店があちこちにあった。ハリウッドの戦争映画で見たことがあるようなミリタリールックは出色。やってきた韓国人の男性も店の前で足を止め、服から視線を離せずにいた。

有名店は「ソンタンプデチゲ」

 建物の外壁に飾られた華やかな壁画にはインスタ派が集まっていた。ニューヨークやロサンゼルスの街を連想させる壁画は映える。筆者も写真を撮りながらこの街を歩いたが、あっという間に1時間が過ぎていた。夜景はさらに華やかだと、街の人が教えてくれた。

「平沢国際市場」で最も人気のある壁画通り。 アメリカのニューヨークの路地に来たような雰囲気がある

 日本人にも人気の韓国料理「プデチゲ」が、この地域を代表する食べ物らしい。有名な「ソンタンプデチゲ」という専門店もあり、韓国人はもちろん、外国人も堪能し、写真を撮っていた。ただ、平沢はソウルから少し遠いためか、日本人や中国人観光客は多くない。穴場観光地でもある。

 平沢には梨泰院をそのまま移したかのような雰囲気を感じる。外国風の街だけでなく、外国人と韓国人が楽しく歩く姿が印象的で、かつての梨泰院を思い出して少し寂しく思った。梨泰院をめぐる時代の流れや、突然に起きた悲劇……。いまはかつての名声を平沢が受け継ごうとしているかに見える。

ノ・ミンハ(現地ジャーナリスト)