右側通行する自転車などを取り締まる警察官=2023年、埼玉
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 車道を走っている自転車が突然、対向車線に飛び出す“ひょっこり運転”をする人物が千葉県内で相次いで目撃されている。目的は定かではないが、こうした迷惑極まりない運転を取り締まることはできないのか。また、万が一、対向車にぶつかるなどして事故が起きた場合、車の運転手も責任を問われるのか。交通事故に詳しい専門家に聞いた。

【写真】自転車で対向車線に飛び出し! 逮捕容疑となった“ひょっこり運転”はこちら

 ひょっこり運転の目撃が相次いでいるのは千葉県の柏市やその周辺。ニュース映像などによると、自転車で車道のセンターライン付近を走り、対向車が来るとセンターラインを超えて車の前に一瞬、ぶつかるかのように飛び出すなど、危険極まりない運転をしている。

 金髪など、外見には共通した特徴があるが、同一人物かは分かっていない。

過去にも同様の事例が

 こうした自転車の迷惑運転に違法性はないのか。 

 宮城県警の警察官として交通課に長く従事し、退職後、交通事故の調査会社「日本交通事故調査機構」(仙台市)を設立した佐々木尋貴さんによると、この人物は自転車による「あおり運転」をしたとして道路交通法違反(妨害運転)に問われる可能性が高いという。 

 過去にも同様の事例はあった。 

 2020年、埼玉や千葉県内でひょっこり運転を続けた30代の男が、あおり運転に当たるとして道交法違反(妨害運転)の疑いで逮捕された。 

 同年6月に施行された改正道交法で、自動車の「あおり運転」に対する罰則が強化されたが、同時に「他の車両の通行を妨害する目的で執拗(しつよう)にベルを鳴らす」「必要のない急ブレーキをかける」など、自転車のあおり行為も処罰の対象となった。 

 この男は、自転車によるあおり運転としては初の逮捕者。懲役8月と罰金20万円の実刑判決を受けた。 

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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自転車の人物が死亡したら強制捜査の可能性も