棚橋弘至(たなはし・ひろし)/1976年、岐阜県生まれ。立命館大学卒業後、新日本プロレス入り。99年10月デビュー。2023年12月から同社社長(写真:新日本プロレス提供)

 読書は心のリセットの時間という人は少なくないだろう。読書家として知られるプロレスラー、新日本プロレス社長の棚橋弘至さんもその一人だ。棚橋さんに好きな本や読書時間について聞いた。AERA 2024年4月29日-5月6日合併号より。

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 最近、「読書家レスラー」という肩書で紹介していただくことが増えました。本好きになったのは高校3年生のときに読んだ赤川次郎さんの『ひまつぶしの殺人』がきっかけです。テストの点数がなかなか伸びず、先生から「もっと本を読め」と言われて本を買いに行き、たまたま目にした本でした。「すごいタイトルだな、暇つぶしで殺されたらたまらないな」と思っただけの「タイトル買い」でしたが、読み始めると一気に引き込まれました。長い文章の世界と出会わせてくれた一冊です。

 大学生の時に読んだ『「朝型人間」の成功哲学』も好きですね。友達と深夜まで飲んだり遊んだりすることが多かったから、何とか1限の授業に出たいと思って手に取りました。内容はタイトルの通り、朝早く起きると1日の充実度が高まりますよという話。当時はなかなか難しかったけれど、20年ディレイして今ようやく朝型の生活ができています。毎日、4時か5時に起きるんですよ。朝のニュースが始まるまでの1時間くらいが、1日のなかで一番ゆっくり時間が流れます。何をするでもなくボーッとしていることが多いですが、大人になるとそういう時間はどんどん減ってくるから、精神的に健康であるために必要な時間だと思っています。

当時の心境思い出す

 もう一冊挙げたいのが、『棚橋弘至はなぜ新日本プロレスを変えることができたのか』という名著(笑)です。2000年代の新日本プロレスがビジネス的に苦しかった時期のことを書いた本で、読み返すと当時の心境が思い出されて、自分の原点に立ち返ることができる。V字回復の物語で、プロレス本とはちょっと違ったビジネス書的な要素もある本なので、ビジネスパーソンにも読んでいただきたいです。

 本を読む時間は、いろいろな悩みをリセットしてリフレッシュできる時間ですよね。みんなが本を読めば争いごともなくなると思います。プロレスラーが全員本を読んで争わなくなったら、それはそれで困るんだけど(笑)。

(構成/編集部・川口穣)

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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