テリー伊藤さん(撮影/上田耕司)

「今のビデオをすぐに消せ」

 たとえば、1991年の正月に放送された「オールスターキャノンボール大会」(TBS系)では、車好きの芸能人や著名人を集めて、自分の愛車で東京から茨城県つくば市までロードレースをさせるという企画を敢行。そうそうたるスポーツカーが常磐自動車道を競って走行したが、明らかに制限速度をオーバーしたり、事故を起こしそうになったりした車がいたことから、社会的な問題になった。

「当時は全国紙にも書き立てられ、大問題になりました。メディアで騒がれ始めたとき、私はスキー場にいたんですが、『すぐに帰って来い』と言われ、そのまま茨城県警に出頭しました。そのとき、僕はわざと刑事の格好をして行ったんですが、取調室に入ったら『お前、なんで刑事みたいな格好してんだよ』と怒られましたね(笑)。その一件があってから、警察からは『次はいつ、どこでロケをやるんだ』と聞かれるようになり、しばらくは警察官がロケ地に先回りしていましたよ」

 警察ざたになって、お蔵入りした企画もある。テリーさんは長年、「ザ・そっくりショー」(テレビ東京系)の演出を担当していた。同番組で、田中角栄元首相のそっくりさんを黒塗りのハイヤーに乗せて国会議事堂に向かうという企画を実行したところ、警察を巻き込むトラブルになった。

「ハイヤーの運転手さんが、国会議事堂の正門から敷地内に入ってしまったんです。そのうえ、そっくりさんが手を振るものだから、警察官も敬礼しちゃって(笑)。でも、3メートルくらい進んだところでやっぱり気づかれて、警察官にバーッと囲まれました。警察官からは『今のビデオをすぐに消せ』と命じられました。僕はなかなか消さなかったんですが、最後は折れてビデオを消しました」

 そのとき、警察官からは「今日は穏便にしてあげる」と言われ、事なきを得たという。

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