弁護団と弾劾裁判所に向かう岡口さん(右)

 岡口さんは無念そうに語る。

「判決の前半は『岡口さんは悪くない』という内容で、心の中では『やった』と思っていたから、罷免との結論を聞き、よけいにショックでした。そして判決内容も、前半では、私の7個の表現行為に、遺族を傷つけようという意図など全く認められなかったとしている。しかし、後半では、結果的に遺族が傷ついているからダメ、罷免ですと。承服しがたい判決です」

言うことを聞かないからクビにしたかった?

 裁判官弾劾法は、3年を経過した事由については訴追できないと定めている。女子高生殺人事件などの投稿は2017年12月で、訴追時には3年以上経過していた。だが、判決では、新しい投稿も含めて「全体が不可分のものとして包括評価の対象になる」と、訴追の対象にした。

「3年以上経過している投稿を訴追したのは、期間内に間に合わなかった訴追委員会のミスとしかいいようがない」
「女子高生のご遺族に謝罪する思いはあったのに、東京高裁当局によって、できなくされてしまった。SNS発信をやめず、言うことを聞かない裁判官をクビにしたいという思いがあったのでしょう」

 岡口さんは「罷免」も想定していたと振り返る。

「判決が出る前から、訴追から弾劾裁判の流れを見て、弁護団には罷免を予想する意見がかなりあった。なかでも裁判の審理が進む過程で、罷免ありきでは、と不信に思ったのが山下貴司衆院議員の対応でした」

 山下議員は東京地検特捜部にも在籍した元検事で、衆院議員に転身後は法務大臣も務めた。岡口さんの弾劾裁判の裁判員となったが、途中で辞任した。

「私の方から出した証人にとても激しい質問をするのです。あまりに度を越えたものであり、中立な裁判員とは感じられませんでした。私は不公平な裁判となるおそれがあると忌避を申し立て、裁判員をやめてもらうように主張。申し立てを知った山下氏側から辞任願が出されました。その時は、公平に裁いてもらえるなら罷免は免れるかと、希望を持ったのは事実です」

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罷免回避のため検討した「ウルトラC」