第55回小田原北條五代祭りで観客に手を振る北条氏政役の高嶋政伸(2019年)

笑顔の裏に潜む狂気

 エンターテイメントジャーナリストの中村裕一氏は、俳優としての政伸の魅力についてこのように分析する。

「90年代は『HOTEL』以外にも、『ジュニア・愛の関係』や『ダブル・キッチン』など、その好感度をベースに、さまざまなジャンルの作品に欠かせない存在でした。彼の近年の出演作で大きなターニングポイントとなったのは、2011年の『DOCTORS〜最強の名医〜』シリーズでしょう。総合病院の後継者でありながら、わがままで大人げない外科医を演じ、『ダブル・キッチン』でも共演した野際陽子とのコミカルなやりとりが毎回人気を集め、主演の沢村一樹に引けをとらない強烈なインパクトを残していました。また、18年にゲスト出演した『遠藤憲一と宮藤官九郎の勉強させていただきます』ではサイキック捜査官として、刑事役の遠藤が本番中に思わず吹き出してしまうほどの怪演を披露しています。柔和な笑顔の裏に潜む狂気や二面性を表現させたら随一。すでに大ベテランですが、俳優としてまだまだ伸びしろやブレークスルーの可能性を秘めているのでは」

 父・忠夫が作り上げた好感度ファミリーの呪縛が解けた今、政伸の振り切った演技に期待が集まる。

(雛里美和)

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雛里美和

雛里美和

ライター。新宿・十二社生まれの氷河期世代。語学系出版社から邦ロックシーンを牽引するライブエージェント(イベンター)を経て、独立。教育からエンタメまで幅広い分野で活動する。

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