「文章を書くのは元々好きだったんですけど、編集者になるなんて想像もしていなかった。印刷所の経営もなかなか厳しいご時世で、新規事業を考えるなかで『これだ』と思い、新しい世界に飛び込んだんです」
小さな編集部、そして“主流”ではないからこそ、思い切った企画も飛び出す。大柴さんは、元々は米プロバスケットNBAのグリズリーズのファン。日本人2人目のNBA選手となった渡邊雄太がグリズリーズに入団した際には、「どうにか口説きたい」と現地実況者に猛アタックし、表紙撮影、ロングインタビューにこぎつけた。
「企画もインタビューの人選も自由で縛りは設けていません。面白いと思ったことはとにかくやってみる。週刊誌でも月刊誌でもないので、中長期スパンで取材対象を追いかけられるんです。他のメディアと争わないからこそできることは多く、そこが楽しさでもあります」
女子バスケ、大学生、高校生、ストリートボール……。プロに限らず、広くバスケ界を横断するのもダブドリの面白さ。今は米ネブラスカ大の富永啓生を追いかける。近い将来のNBA入りも期待される若きシューターだ。日本バスケ界は若手に逸材がひしめく。さらに男女ともにパリ五輪への出場権を獲得するなど、ふたたびバスケ人気が高まっている。
「熱気は僕らもひしひしと感じています。バスケにハマって、バスケをより深く知ろうと思ったときに手に取ってみたら最適だった。そう思ってもらえるものを作っていきたいですね」
(編集部・秦正理)
※AERA 2024年4月22日号