辻愛沙子(つじ・あさこ)/クリエイティブディレクター、arca代表。「社会派クリエイティブ」を掲げ、広告から商品プロデュースまで手がける(写真:本人提供)
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 東京都の卵子凍結の費用助成に申請者が殺到していることで、需要の高さが注目されている。arca代表でクリエイティブディレクターとしてメディアでも活躍する辻愛沙子さんが卵子凍結を決断した理由とは。AERA 2024年4月22日号より。

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 卵子凍結は、20代前半の頃から選択肢の一つだと思っていました。大学在学中の20歳から仕事を始め、夢中で働いてきて今年で29歳。「いつか子どもを産むかも」という思いはあっても、「この2~3年のうちに妊娠・出産」というイメージがずっと持てずにきました。20~30代って、たくさん吸収して学びたい時期なのに、前線を離れるのは大きな不安がある。結局子育てか仕事か、どちらかを選ばざるを得ないのではという気持ちがあるからだと思います。

 正直、今すぐ子どもが欲しいかというと分からないし、少なくとも、ここ1~2年での妊娠・出産は考えていません。でもこの先、子どもを望むかもしれない。そこに卵子凍結という選択があり、やるなら早い方がいいとは思っていました。ただ、料金が高いし、仕事も忙しいしで保留状態が続いていたんです。

 そんな私の背中を押してくれたのは、3月末まで「news zero」でご一緒していたフリーアナウンサー有働由美子さん。「いつかって思ってるなら、一日でも早いに越したことはない」と真剣に話してくれたことと、都の助成金が、決断のきっかけになりました。

 3月に参加した都の説明会では、初めて聞くこともたくさんありました。卵子凍結は「すれば安心」と言えるものでもなく、100%妊娠が保証されるものではない“プラスαの保険”という感じでしょうか。

 正直卵子凍結に至るステップはかなり怖い。でも自分の体験によって、女性たちに伝えられることがあるんじゃないかと思っています。

(フリーランス記者・松岡かすみ)

AERA 2024年4月22日号

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松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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