妊娠することは相手があってのことですが、「産む」のは女性です。しかし、日本では、女性が「自分の体の中に起こっていることを、自分で決めることができない」のです。

 こうしたアメリカと日本の「中絶」をめぐる状況を探るにつれ、160年も前の法律が有効になったアメリカはアリゾナ州での出来事に衝撃を受けた一方で、明治時代に制定された法律が改正されることなく続いている日本の現状を初めて知り、一人の女性として動揺せざるを得ませんでした。

 35歳を目前にした今、「そろそろ真剣に子どもを持つことについて真剣に向き合わないと、タイムリミットがやってきてしまう」と思っていた矢先のことだったからです。

 アメリカでは、中絶が禁止されている州(※4)がある一方で、中絶が合法である州、中絶に関して曖昧な州もあり、一概に議論することはできません。中絶をめぐる闘いは、州議会や裁判所で進行中であり、この中絶に関する権利は、今年の11月に行われる大統領選挙で争点となるとみられています。一人の女性として、今後妊娠を考える女性の一人として、この問題を注視していきたいと思います。

 【参照URL】

(※1)https://www.bbc.com/japanese/articles/c296g8y8050o

(※2)https://cocreco.kodansha.co.jp/cocreco/general/birth/fuBBr 

(※3)https://www.ohchr.org/en/women/sexual-and-reproductive-health-and-rights

(※4)https://www.cnn.com/us/abortion-access-restrictions-bans-us-dg

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