リモートワークやハラスメント意識の浸透で、NGワードが増えているという。最新の職場のざんねんな言葉を専門家に聞いた。AERA 2024年4月15日号より。
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うっかり発してしまうと社会的命取りにもなりかねない重要なNGワードを紹介したい。ハラスメントに絡むNGワードだ。
教えてくれたのは、『トラブル回避のために知っておきたい ハラスメント言いかえ事典』の監修者で、ハラスメント対策専門家の山藤祐子さん。まずは増殖する「ハラスメント」の最新情報を教えてもらった。
「(顧客が企業などに理不尽なクレームなどを言う)カスタマーハラスメントが2023年秋に労災認定基準になり、注目されています。東京都も条例を作ると言っていますので、企業として対策が急務になってくると思います。また、性的指向や性自認に関するSOGI(ソジ)ハラやジェンダーハラスメントも、今年3月、同性パートナーに犯罪被害者等給付金の支給を認める最高裁の判断が出て、今後さらに注目されていくと思います」
新顔の「ハラ・ハラ」
また会社は、ハラスメントワードが飛び交いがちな危険地帯。セクハラ、パワハラなどおなじみのもののほか、知る人ぞ知るハラスメントも数多い。ともすればうっかり口にしてしまいそうなハラスメントNGワードを、山藤さんが監修した前出の本からいくつか紹介したい。
まずはコロナをきっかけに広まったリモートワークに関わる「リモートハラスメント」だ。オンライン会議などで通話が途切れがちになったとき、〈お前のところはいつもだな。何とかしておけよ〉はアウト。〈パソコン買い替えたら?〉もグレーゾーンとなる。リモート会議の通信環境を整えるのは事業者(会社)の責任。個人に責任を負わせるのは「過大な要求」であり、パワハラにあたるという。それより「気にしないで。お互いさまだから」が正解だ。
もうひとつ、「ハラスメント・ハラスメント(ハラ・ハラ)」と名付けられた、部下側もやりがちなハラスメントもある。自分が不快に感じる言動を、何でもハラスメントと決めつけて、過剰に騒ぎ立てる「逆ハラスメント」のひとつとなっている。