――なすびさんはコロナ禍の20年4月に、「一週間や十日位、試しに家に閉じ籠ってみませんか? 私が出来たんだから、貴方にだって出来ます!!」とツイートして話題になりました。冷暖房を一年中つけていないことも明かしていますが、これも環境問題の観点から取り組んでいるのでしょうか。
いや、たいしたものじゃないんですよ。ただの変わり者です(笑)。福島の原発事故が起きた時に、東京の電力を福島の原発で作って送っていたと知った。自分は「節電で何ができるんだろう」と生活を見つめ直した時に冷暖房をつけるのをやめようと。ただ、自分のやり方を他の人に勧めるつもりはありません。体調が第一なので冷暖房をつけたほうがいい方がたくさんいらっしゃいますしね。僕は体が丈夫だからできるというだけで。自転車で移動するようになったのは15年ぐらい前ですかね。1時間あれば都内からいろいろな所に行ける。もう少し時間をかけて遠くへ行ってみようとなったら、大宮や幕張にも行けて。エベレストの時もそうですけど気合と根性です(笑)。
重い十字架を背負って
――今後の人生設計を教えてください。
懸賞生活で名前が世に広まりましたが、僕の人間性、キャラクターを認めてもらってかけがえのないお仕事を頂くことが増えているのが本当にありがたい。先程もお話ししましたが、自分のためだけだったら頑張れないことが多いです。「この人のために頑張ろう」という思いが力になる。戦争や人と人の対立が顕著になって激化しているなかで、自分がつらい立場でも「人のために」という考えがあったら、困った時に手を差し伸べる発想があったら、みんなが幸せになれるという思いがあります。懸賞生活という重い十字架を背負ってつらい時期があったけど、今の僕を見てくれる人たちがたくさんいる。微々たることしかできないかもしれないですけど恩返ししていきたいですね。
なすび/俳優、タレント。1975年、福島市出身。98~99年に出演したテレビ番組「進ぬ!電波少年」での懸賞生活で話題を呼んだ。俳優としても活躍。福島県の「あったかふくしま観光交流大使」や環境省の「福島環境・未来アンバサダー」を務める。
(平尾類)