3度挑戦して登頂できなかった時は心が折れかけたという(提供写真)

――エベレストに4度の挑戦は体力、気力だけでなく資金面も大きな負担がかかったと思います。

 そうですね、クラウドファンディングで支援していただきましたが、1000万円の借金を背負った時期もあります。偽善に思われるかもしれないけど、エベレストに登頂して少しでも話題になって、2011年に発生した東日本大震災で大きな被害に見舞われた福島の復興支援の役に立ちたいという思いだけでした。あの時はSNS上で「売名行為だ」「便乗商法だ」と批判されたんですけど、「なすびは福島のために本気でやってくれてんだよ」と被災地の方々に火消しして救ってもらった。3度挑戦して登頂できなかった時は心が折れかけました。けど帰国後に歩いた青森から福島につながる、みちのく潮風トレイルの道々でいろんな方々に「応援してるよ」と励まされてたから頑張れた。自分のためだけだったら絶対登れなかったです。支えられていたのは僕だったんです。

福島も絶対復興できることを発信したかったという(提供写真)

みんなが笑ってくれて

――頂上で「福島も奇跡を起こせます!」と叫んだ姿が印象的でした。

 震災が発生した時、東北を手助けしないと後悔すると思ったんです。自分ができることを死に物狂いでやろうと。生き方が変わったのはこの時だと思います。懸賞生活の時に「おまえは笑われている。芸人は笑わせなきゃダメだ」と先輩に言われて。僕も「そうだよな」と思ってましたけど、被災地のイベントに笑顔で登場したら、みんなが笑ってくれて。客寄せパンダで笑われていただけかもしれないけど、結果として誰かが笑顔になるなら「笑われてもいい」と吹っ切れました。「懸賞生活のなすびだ」って言われてもいい。事実ですし、プライドを捨てて求められたことは何でもやろうと思いました。エベレスト登頂も山登りの経験がなかった僕ができたんだから、福島も絶対復興できることを発信したかった。講演会で登頂の時の映像を流すと、涙を流してくれる方がいて。命がけで困難を乗り越えた思いが伝わって、誰かのためになったらうれしいですね。

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