Amazonなどで定期的に購入していたため、常備している状態だった。男性は小林製薬に問い合わせているという(男性提供)

気づいた時には重症レベル

 今回の小林製薬の紅麹成分配合サプリでは、急性腎障害など腎障害を含む健康被害が相次いで報告されている。一方、サプリの健康被害では一般的に肝障害も少なくない。腎臓は体内の老廃物や余分な塩分、水分を尿にして排泄する臓器であり、また肝臓は薬やサプリメントなどの代謝が行われる臓器だからだ。

 大阪大学大学院医学系研究科内科学講座消化器内科の竹原徹郎教授が言う。

「腎臓、肝臓とも沈黙の臓器と言われるほど、症状がなかなか現れず、自覚しにくい。そのため、本人や家族が何かおかしいと気づいたときには重症レベルということは珍しくありません。薬やサプリメント、健康食品による肝障害を薬物性肝障害といいますが、急性肝炎重症型や劇症肝炎を起こし、亡くなってしまう方もいるのです。健康を取り戻すまで、月単位で時間がかかることも多い」

回復に時間がかかる

 日本医師会監修の「いわゆる健康食品・サプリメントによる健康被害症例集」(同文書院)に紹介されている事例では、58歳女性がサプリメントのウコンを肉体疲労回復目的に内服開始。1カ月後、全身倦怠感、発熱、頭痛を訴え受診したところ、血液検査で肝機能障害を指摘された。入院後、肝障害は軽快に向かったが、2週間後再び増悪し、プレドニゾロン(ステロイド)を投与。半年後の肝生検で炎症性変化、繊維性変化の軽快が確認された。

 また、独立行政法人国民生活センターのホームページでは、「通販で購入した特定保健用食品の粉末青汁を1回飲用し、重症の薬物性肝障害。34日間入院」「知人に勧められた3種のサプリメントの摂取を続けたところ、薬物性肝障害の重症。1カ月強の入院」といった事例もアップされている。

「サプリメントとサプリメント、あるいはサプリメントと薬といった飲み合わせで、問題が生じるケースもあります。長く飲んでいて問題がなくても、何か薬を飲む必要が出た際に飲んでいたサプリメントの毒性が出てくることもある」(竹原教授)

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サプリだから安心安全ではない