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 宇宙はどのように始まったのか──。そんな宇宙にまつわる疑問に対して、私たちは間違った解釈をしているかもしれない。物理学者の須藤靖氏は、「宇宙はビッグバンから誕生した」は誤解だと指摘する。どういうことなのか。朝日新書『宇宙する頭脳 物理学者は世界をどう眺めているのか?』から一部を抜粋、再編集して解説する。

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ビッグバンは爆発ではない

 宇宙は点が爆発して始まった。

 いわゆるビッグバンの説明としてこのような記述を見かけることが多い。そこには、「宇宙はビッグバンから誕生した」、「ビッグバンは爆発現象だ」、「宇宙はかつて点であった」という三つの主張が含まれている。しかしこれらは控えめに言っても誤解を与える表現、端的に言えば、間違いである。

 まず、宇宙がいかにして誕生したのかは全くわかっていない。

 次に、ビッグバンは、バン(bang)という英単語が用いられているにもかかわらず爆発ではない。

 しかし、宇宙は「誕生直後に」極めて高温かつ高密度の状態を経験したことは確実だ。そして、「その状態」をさしてビッグバンと呼ぶのが普通である。

 最後に、宇宙を過去に遡ると、その体積は0になる、すなわち「数学的な意味での」点であると考える根拠は間違っている(その結論が間違っているかどうかまでは未だ断言はできないとしても)。

 今回は、最後の「宇宙はかつて点だった」という広く流布しているとおぼしきこの宇宙最大の誤解の周辺を掘り下げてみたい。

『宇宙する頭脳』(朝日新聞出版)
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宇宙は有限か無限か