千葉県東方沖で地震が多発している。首都直下地震との関連性を懸念する声も上がるが、政府の地震調査委員会などは「現時点で結びつくとは考えていない」と否定的な見解を示している。しかし、この地域は過去に大きな地震が発生した歴史があり、2011年の東日本大震災後から続く地震リスクも潜むとして、専門家が警鐘を鳴らしている。
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千葉県の東方沖を中心に、2月下旬から地震が頻発している。
気象庁の震度データベースによると、2月27日から3月17日までに、最大震度1以上の地震を46回観測。2月26日以前の1カ月間では3回しか起きておらず、地震が増えているのは明らかだ。
最大震度4の地震が4回、最大震度3の地震も7回と、比較的大きな揺れも観測している。
気象庁によると、この地域では「スロースリップ」と呼ばれる現象が起きているという。「スロースリップ」とは、断層がゆっくりと動く現象だ。この断層の動きで地震が起きるのではなく、新たにできたひずみによって地震が起きていると見られている。
政府の地震調査委員会(委員長=平田直・東京大名誉教授)によると、この地域では1996年、2002年、07年、11年、14年、18年と数年おきにスロースリップが起きている。07年には最大震度5弱の地震が起きており、同じ程度の地震が今回の地震活動でも起きる可能性があるという。
周期的に起きている地震
報道によると、近い将来起こると懸念されている首都直下での巨大地震との関連について、平田委員長は「過去にも活動がある場所であり、現時点で結びつくとは考えていない」との見解を述べたという。
しかし、警鐘を鳴らす専門家もいる。
「もう一つの地震リスクが見過ごされている」
こう指摘するのは、東海大、静岡県立大の客員教授で、日本地震予知学会会長の長尾年恭氏だ。この場所では、少し長い周期で見ると大きな地震が起きてきたという。