無人店舗はほかにも、カフェ、チキン、トッポッキ(餅を甘辛く味付け)といった飲食系から、写真館や文房具、衣類といった日用品などが登場している。日本よりはるかにバリエーションは広い。
韓国の場合、自分で調理するというのが出色で、無人トッポッキ店では自分で温めて、好みで卵やねぎ、ラーメン、チーズ、天ぷらなどのトッピングを購入して作る。チキン店では、自分でチキンを揚げる。
独自の進化を遂げる韓国無人ショップだが、一方でこれが社会的問題を引き起こしている。
韓国で無人ショップが広がった理由のひとつに治安のよさがあった。ソウルを含む首都圏には随所に監視カメラが設置されている。犯罪が発生しても容疑者の検挙率がかなり高く、重大犯罪発生件数が過去に比べて大幅に減った。この状況が、オーナーたちに無人ショップ開設を踏み切らせたという面はある。しかし、いくら治安がいいとはいえ、無人である。どうしても窃盗など犯罪のターゲットになりやすい。
狙われた無人写真館の撮影ブース
2月10日は韓国の旧正月にあたり連休だった。この時期に済州島(チェジュド)では、10代の少年4人が警察に逮捕された。彼らはマスクを着けてヘルメットをかぶり、無人ショップ7カ所で罪を犯した。商品を盗むだけでなく、セルフ決済機を破壊し、中に入っていた現金を持ち去ったという。
1月末には仁川市にある無人アイスクリームショップで商品を盗み続けていた小学生が逮捕された。被害額は19万ウォン(約2万1400円)相当にもなったという。無人ショップでの窃盗犯の大半は少年だ。刑事処罰を受けない年齢であることが多い。監視カメラを設置しても、店員が現場で管理していないため、立件に限界がある場合もあるという。
無人ショップが性犯罪に使われた事件も発生している。昨年9月、弘大の無人写真館で、酒に酔って寝ていたある女性が被害に遭った。無人写真館には撮影ブースが設置されている。犯人はそこで犯行に及んだ。結局、容疑者は犯行から12時間後に逮捕され、懲役5年を宣告された。