一発逆転の“飛び道具”のイメージが強かった「推薦入試」が多数派になりつつある。
【ランキング】東大・京大・北大、東北大、名大、阪大、九大、一橋大、東工大、神戸大「推薦」「特色」「総合型」等の合格者数一覧!
私立大が活用していた入試形式だが、近年は国公立大でも普及。昨年4月の入学者では総合型を合わせて初めて半数を超えた。
「多様なバックグラウンドを持つ学生が入ることで、学部教育の活性化が図られているという声が複数の教員から上がっている。着実に成果は出ている」
そう胸を張るのは、8年前から学校推薦型選抜を実施する東京大の担当者。2月13日、合格発表後のオンライン会見で手応えを語った。
下記のランキングを見てほしい。
2月21日12時時点での、今年の東大「学校推薦型選抜」と京大「特色入試」の合格上位校を一覧にした(校名に付く◯印は私立・在外教育施設、◇印は国立、無印は公立)。
【東京大学(学校推薦型選抜)判明率 94.5%】
合格91人(志願256人)2.8倍
3人 ◯開成、◯渋谷教育学園渋谷(東京)/◯灘(兵庫)
2人 秋田(秋田)/福島・県立(福島)/◯渋谷教育学園幕張(千葉)/◇筑波大附、◇東京学芸大附、桜修館中教、日比谷(東京)/藤島(福井)/長田(兵庫)/◯西大和学園(奈良)/◯久留米大附設(福岡)
【京都大学(特色入試 ※法学部除く) 判明率 95.0%】
合格119人(志願500人)4.2倍
8人 西京(京都)/◯開明(大阪)
7人 ◯桃山学院(大阪)
5人 ◯大阪桐蔭(大阪)
4人 姫路西(兵庫)
3人 ◯洛南(京都)
2人 ◯鴎友学園女子、◯海城(東京)/向陽(愛知)/膳所(滋賀)/◇神戸大附中教、神戸、宝塚北、長田(兵庫)/奈良、◯帝塚山(奈良)/◇広島大附(広島)
年内入試の裾野広がる
推薦・総合型選抜の対策を専門にする「洋々」の江口輝亨さんは、2020年度以降の大学入試改革を経て、9月から12月にかけて実施される“年内入試”の変化について、こう話す。
「入試への理解が進んだことで、やみくもに早慶上智などのトップ校を狙いに来るのではなく、募集要項や試験の狙いを理解したうえで入試に挑む人が増えました。年内入試の裾野はどんどん広がってきています」
国公立も私立も書類や面接などの対策は変わらないが、東大はやはり難易度が高いという。
「積極性やリポートにまとめる能力、コミュニケーション力が非常に優れている。人間力も高く、ドラえもんの出木杉くんみたいな生徒が多いです。東大や早稲田は海外大を意識していて、世界に開かれた大学にしたいという思いを強く持っている。英語の資格を要求する大学も増えていくのではないでしょうか」
(編集部・福井しほ)
※AERA 2024年3月4日号から