この状況は海外も大差はない。韓国や台湾でも自動化ゲートの設置が進んでいるが、やはりスタンプは省略される。しかも、日本のようにゲートの先にスタンプを押してくれるブースはなく、空港内のオフィスに出向く。

 台湾から帰国したHさん(42)は、この台湾桃園国際空港のオフィス前で30分も待った。スタッフが不在で戻るまで待たなくてはいけなかったという。

自動化ゲート使ったのに

 タイから帰国したSさん(69)は、バンコクのスワンナプーム国際空港の自動化ゲートを使って出国した。そこで職員にスタンプがほしいというと、脇の通路を通って出国審査場に戻り、有人ゲートに並んでください、と指示されたという。

「自動化ゲートはスピーディーでいいんですけど、使った意味がまったくありませんでした。有人ゲートは混んでいて通過するのに30分もかかりました」

 自動化ゲートをめぐる混乱はまだ続きそうだ。

(下川裕治)

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下川裕治

下川裕治

下川裕治(しもかわ・ゆうじ)/1954年生まれ。アジアや沖縄を中心に著書多数。ネット配信の連載は「クリックディープ旅」(隔週)、「たそがれ色のオデッセイ」(毎週)、「東南アジア全鉄道走破の旅」(隔週)、「タビノート」(毎月)など

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