自動化ゲート。筆者の体験では30秒もかからずに通過できる(写真提供:パナソニック コネクト)

 日本を出国し、海外から帰国する際、空港の出入国審査でパスポートに押してもらうスタンプだが、最近は自動化ゲートを導入する空港が増え、スタンプが押されないケースが増えている。ただ、その場合は注意が必要だ。スタンプがないことで、いろいろと不便なことがあるようだ。

【写真】便利なはずだが、実は面倒も。自動化ゲートはこちら

 昨年12月、印刷会社に勤めるKさん(56)は妻と東京都江東区にある中国ビザ申請サービスセンターに出向いた。年末年始に中国旅行を計画していた。

 以前に比べると中国への短期観光旅行のハードルがあがり、ビザが必要になった。申請には往復航空券や宿泊先ホテルの予約確認書のほか旧パスポートなども必要だ。Kさん夫妻はそれらを提出するとこう言われた。

「韓国に行ったときの出国スタンプがありません」

「は?」

免許証が……

 昨年、Kさん夫妻は韓国に行き、帰国する際はソウルの仁川国際空港を利用したが、出入国審査カウンターは無人の自動化ゲートを通過したため、出国のスタンプは押されなかった。そのスタンプがない理由を問われたのだ。事情を詳しく説明し、ビザは受け取れたというが……。

 タイに駐在している建設会社員のTさん(40)も、海外から帰国する際に自動化ゲートを使ったことで、大きな“痛手”を負った。

 昨年、日本でさまざまな手続きをしなければならないため、一時帰国した。仕事の関係で日本での滞在日数は4日間しかなかった。

 そうしたなか、運転免許証の再取得のために東京都品川区の運転免許試験場に向かったのは、タイに戻る前日だった。そこでこう言われたという。

「パスポートに出国と入国のスタンプがないので再取得の手続きはできません」

 Tさんも「自動化ゲート」を利用していた。出入国在留管理庁でスタンプを押してもらうように言われたので連絡をとったが、「1日では処理できない」という返事。免許の再取得はできずにタイに戻った。期限内に再度帰国すれば再取得はできたが、仕事の関係で帰国は難しく、結局、日本での運転免許証は失効してしまった。

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下川裕治

下川裕治

下川裕治(しもかわ・ゆうじ)/1954年生まれ。アジアや沖縄を中心に著書多数。ネット配信の連載は「クリックディープ旅」(隔週)、「たそがれ色のオデッセイ」(毎週)、「東南アジア全鉄道走破の旅」(隔週)、「タビノート」(毎月)など

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