配当は企業が得た利益を株主に分配するものだ。そのため、十分な利益がなければ分配できない。その企業の株主還元政策にも左右される。鈴木さんは続ける。
「投資家にとって、配当が毎期変動するようでは安定した長期運用の対象としにくいのが現実です。業績が安定していて、配当が着実に増える傾向のある銘柄は、魅力的に映ると思います」
その意味で注目したいのは「連続増配株」。連続して配当を増やしているということは、順調な業績が続いたり、業績が落ちた時でもしっかりと利益を蓄えたりするができている企業ということになる。
そこで今回、鈴木さんに、高配当株の中でも10期以上の連続増配を行っている銘柄を選んでもらった(上の表)。
一定の流動性
具体的には、銀行や証券、保険会社を除く東証プライム市場に上場する時価総額2千億円超の3月期決算企業のうち、会社予想にもとづく配当利回りが3%超で、かつ、今期(24年3月期)で10期以上の連続増配を予定する銘柄だ。
絞り込みの条件に時価総額を設定したのは「一般の投資家にとって、やはりどんな会社か分かりにくいと資産に組み込みにくい。また一定の流動性がないと、取引したい時に売買できないということにもなりかねません」(鈴木さん)。配当利回り3%は、東証プライム上場企業の平均を上回る。
さらに今回、業績の安定性を重視するため、前期(23年3月期)の本決算発表後に、今期の通期最終利益の予想を下方修正していないところに絞った。
「業績が安定していないと配当のために自己資本が棄損されるようなケースも想定されます。それは避けたい」(同)。