「サークルの先輩から『コンサルに行きたいなら3年の初っぱなから動いたほうがいい』と教えてもらい、2年の冬からウェブテストの対策を始めました。3年になって三田キャンパスに移ると雰囲気がガラッと変わり、就活のスイッチが入りました」
コンサルを志望した理由は、
「建前抜きで言うと、高い年収と東京勤務」
と言い、学生同士の情報交換も頻繁にしていたという。
「大学の友だちは就活の“戦友”という感じで、いい励みになりました。大手企業のなかでも、商社やディベロッパー、コンサルなどを目指す“ミーハー就活”の学生は多いです」
先輩・友人との深い絆
同学部3年でメガバンクを目指している男性(22)もこう話す。
「慶應は仲間意識が強い」
通学も大学最寄り駅で誰かと待ち合わせ、キャンパス内では一人で過ごすことはないという。
「大学の友だちは高め合っていく存在。就職でもみんなが名のある企業に行くから自分も行かないと、という思いがあります」
慶應義塾大学の就職・進路担当は、同大が就職に強い理由についてこう説明する。
「本学には『社中協力』の精神があり、卒業生が気軽にゼミやサークルに顔を出し、他大学と比べて学生と触れ合う機会を多く持ってくれます。学生はOB・OGとの交流を通じて業界や企業への理解を深め、人格を磨き、成長していきます。そのことが結果的に良い就職につながっていると思います」
慶應が就職に強いのは卒業生の存在と、塾生同士の切磋琢磨(せっさたくま)。組織戦が奏功しているのだ。
つながりは卒業後にさらに強固になっていく。日本の大学同窓会で最強と言われる「慶應三田会」だ。卒業式と併せて年度三田会の結成式が行われる。さらに地域や企業、業種ごとの三田会もある。その数は公認のものだけで885(11月現在)。三田会を包括する慶應連合三田会の菅沼安嬉子会長は言う。
「毎年10月に開催する『連合三田会』大会では、卒業後10年、20年、30年、40年の塾員(卒業生)約1千人が実行委員を務め、約2万人が参加し、塾員の強い絆を作ります。福澤諭吉先生が『全社会の先導者たれ』とおっしゃいましたが、社会を引っ張っていく気概を持って活躍している塾員がたくさんいます」