情報番組「モーニングショー」時代に全国にロケ行っていた時、福岡の八女で撮った写真(画像=宇賀さん提供)

昔は「休めない空気感」はあった

「でも、私が入社した09年と退社した19年でも、働く環境は大きく変わっていました。働き始めのころは、正直、休めない空気感はありました。休んで番組に穴を開けることはできないって。でも、時代が進むにつれて、残業に厳しくなったり、仕事をいろんな人に割り振ったり、一人の負担が増えすぎないように、というやり方に変わってきているというのはすごく感じました。私は直接経験していませんが、コロナをへて、さらに変わっていると思います。具合が悪いとか、いまちょっとつらいですっていうことが言いやすくなって、休みたいときに休める。それを皆さんがちゃんとフォローできるっていう環境に変化しているというのはすごく喜ばしいことだなと思います」

 もうすぐ「国際女性デー」(3月8日)を迎える。しかし、日本のジェンダーギャップ指数は、依然として世界の標準から大きく後れをとったままだ。世界経済フォーラムが毎年発表している「Global Gender Gap Report」の23年版によると、日本のジェンダーギャップ指数は、146カ国中125位。宇賀さんはランキングについて感じていることをこう話す。

「日本にとってはいまが過渡期で、変化するには本当に時間がかかるんだと思います。上位の国、たとえばフィンランドなどの北欧諸国を昨年、旅しました。これらの国々は、長い間戦争が起こっていたり、占領されたりしてきたという負の歴史がある。だから、やっとそこから独立できて、新しい国を自分たちの手でつくるんだとなったときに、いい国にしようと志し、さまざまなルールを考えたり、作ったりした結果、幸福度など、あらゆるランキングの上位に入るようになったんだ、と現地の人から聞きました。対して、日本は平和だった時代が比較的長くて、良くも悪くも変わりづらい国、変わるのに時間がかかる国なのかもしれないなと感じています。私自身も無意識のうちに古い価値観に縛られているときがあるくらいですから」

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“性別の持つ意味”は小さくなっている