英語スキルは転職や昇進、昇格の必須条件となりつつある。小学生で英語に触れた20代との差に戦々恐々とする諸氏に、30歳を過ぎてからTOEICスコアとキャリアを大幅にアップさせた人たちが、勉強法を明かす。AERA 2024年3月4日号より。
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スキルアップのためにTOEIC学習に取り組むビジネスパーソンは多い。転職情報サイトdodaが22年、20~59歳の正社員男女を対象に行った調査では、「ビジネスシーンで役立つ資格・スキルを身につけるために、自分磨きを行っている/過去に行っていた」人のうち29.5%がTOEICに「興味がある・身に付けたい」、20.1%が「過去に取得した」と回答した。簿記やIT系資格、MBAなどを抑え、最多だった。
都内の会社員、小川明美さんは去年4月の転職後、TOEIC学習を始めたという。海外事業も多数手がける上場企業への転身で、英語に触れる機会が格段に増えた。
頼ったのが、グループ英語コーチングサービス「Gariben」だ。約3カ月のプログラムで、英語力が同程度の受講生約5人がグループとなり、コーチらと共にTOEIC100点以上のアップを目指す。月2回の講義以外はカリキュラムに沿った自己学習だが、メンバーは日々、勉強時間や成果を報告し合う。
仲間と学ぶメリットも
「働きながらの勉強でモチベーションが下がる時期もありましたが、ほかの人がどれだけ頑張っているのかわかり、焦りを感じると同時に励みにもなりました。グループで学ぶ仕組みはとても合っていたと思います」
自らに課した学習時間は1日1時間半。片道20分の通勤電車で単語帳を開き、昼休みに30分、寝る前に20分と細切れでも時間を確保した。3カ月を経て、スコアは455点から680点に。実際の英語力向上も実感しているという。
「仕事で英文を扱う際、かなり読みやすくなってきました。ただ、先日立ち会った関連会社の英語インタビューはほとんど聞き取れませんでした。まず700点、それからその先を目指したいですし、スピーキングにも挑戦したいと思っています」
小川さんが取り組んだGaribenを監修した英語学習コンサルタントのセレンさんも、30歳を過ぎて学び始めたひとり。大学卒業後英語に触れることはなかったが、31歳のときの経験が大きかった。