“ごちゃまぜ”で住民の力引き出す
そんな経緯から、コミュニティセンターの構想は、高齢者の生きがい作りや高齢者自身が取り組むボランタリーな活動も視野に入っています。「お世話をされるだけ」の福祉や医療のみに頼っていたら、コミュニティーの力は引き出されません。例えば、配食サービスの調理や子どものお世話なども高齢者がやりがいを持って取り組める仕事になるかもしれないですよね。仮設にいるコミュニティー内で郵便配りをするぐらいなら「私に任せて」と手が挙がり、「こういう仕切りで担当し合いましょう」と住民側に自治が生まれてくるかもしれません。それって、必ずしも福祉の領域ではないんですね。
このコミュニティセンターの構想で、縦割り行政の枠を外して障害者も高齢者も分け隔てなく支える“ごちゃまぜ”が進めば、この数年で、奥能登の福祉や医療は大きくモデルチェンジを遂げることになるでしょう。
(聞き手・構成/ジャーナリスト 古川雅子)
※AERAオンライン限定記事