部屋中を引っかき回して、なんとかボクは賞金をゲット! でも喜んだのも、つかの間、ここからがまた地獄だった。放送時間がまだ余っている状況だったからか、「ここからフリータイムです」という番組のむちゃ振りがスタート。要するに、「残りの尺をどうにかして埋めろ」ってこと(笑)。放送時間は残り156秒だった。

 あの「156秒」をどうやって乗り切ったのか。正直ボクはほとんど覚えていない。たがが2分半程度なのに、ボクの体感では数十分にも感じた。とにかく長い、長すぎる156秒だった。脳みそをフル回転したからか、終わった後は、しばらく興奮状態がおさまらず、朝の5時まで寝られなかった。翌日は、体中がとにかく痛かったし。

 わずかな時間だったけど、あれってもうボクの単独ライブみたいなものだったよね。ウケているのかも全然分からないし、すごくつらかった。あれで、ますます単独ライブが嫌いになったよ……。

 ほんと大変だったけど、反響が大きかったのはよかった。X(旧ツイッター)でも、「水曜日のダウンタウン」と「クロちゃん」の2つのワードがトレンド1、2位になっていたし。視聴率もよかったみたい。あと、SNSやヤフコメとかをみると、ボクを褒めてくれる内容も多かった。でも、カオスだったあの状況を褒められても、ちょっと複雑。何の手応えもないからね(笑)。

監視カメラを「外してくれ」と頼むつもりない

 今回のことで、「監視カメラ」にも再び注目が集まった。改めて振り返ると、ボクの部屋に監視カメラがつけられて、もう2年以上になる。24時間ずーっとついているわけだから、ボクは普段生活する上で、ほとんど気にしていない。正直、存在を忘れているといってもいい。それぐらい、もうボクの生活になじんでいる。

「監視カメラ」を見上げるクロちゃん(撮影/岡本直也)

 つけられたばかりのころは正直嫌だった。今は、リビングの1台のみだけど、当初は寝室にもついていたからね。自分の部屋なのに、全然気が休まらない。

 でも、ボクが「水曜日」に何度も出演して学んだことは「習うよりも慣れろ」。だから、とにかく「この状況に慣れなきゃ」と思ってからは、監視カメラに対しての考え方が変わってきた。不思議と「メリットも多い」と思えてきたんだよね。

 例えば、仮にボクが自宅で突然具合が悪くなって倒れたとしても、「水曜日」のスタッフが気づいて、救急車を呼んでくれるかもしれないとか。これだけ大々的に、監視カメラがついていると公表しているわけだから、泥棒だってきっと入りにくいはずだとかね。

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