脳を育てるには5歳までに何をすべきなのか。小児科医である成田奈緒子さんは「いい教育を受けさせるのが子育てではない。最初の5年間はひたすら、早く寝て早く起きられる脳をつくることに専念すべきである」という――。
※本稿は、成田奈緒子『子育てを変えれば脳が変わる こうすれば脳は健康に発達する』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
脳が育たない子育ての典型
子供のためと思いきや、実は逆効果になっていることがあります。
たとえば、共働きのご夫婦は「子供に十分に手をかけられていない」という罪悪感から、休日にたくさんの「おけいこ事」をさせてしまうことがあります。
「専業主婦なら、私がもっと色々教えてあげられるのに」
「これでは小学校に入ったあと、勉強が遅れてしまうかもしれない」
と焦って、外注で脳育てをしようとするわけです。
しかし、これは「脳が育たない子育て」の典型例です。
子供はただ寝かせる、起こすだけでいい
からだの脳を育てるには五感を繰り返し刺激することが重要です。
朝の光を浴びる、夜は真っ暗にして早く寝る。
同じ時間に3度のごはんを食べる。
子供の顔を見て表情豊かに、明瞭な声で語り掛ける、など。
これらの刺激はすべて、日々の「生活」を通して行われます。
平日は保育園に任せるしかないとしても、週末や休日はお父さん・お母さんがそれを行えるチャンスです。その貴重な時間をおけいこ事に費やしてしまうのは、子供を疲れさせるだけで、何のメリットもありません。お金も時間も、非常にもったいないです。
我が家の場合、お金を払うのは塾や教室ではなく、ベビーシッターさんでした。
娘の幼少期は夫が単身赴任中で、私も仕事で多忙とあって、夜、なかなか早くは帰れない日がありました。そんなときはベビーシッターさんに面倒をみていただきました。
そのときももちろん、「夜8時就寝」は厳守。でもそれ以外に、娘に何かを学ばせたり、習わせたりしたことはありません。
5歳までの子供は、ただ寝かせる、起こす。これだけでいいのです。
わざわざ新しく用事を増やさずとも、むしろ増やさないほうが、からだの脳の成長が促されます。