また、常時50人以上の労働者がいる事業場には産業医を配置する義務があり、1000人以上(有害業務がある場合は500人以上)の事業場では専属の産業医を置くことが定められています。
「産業医は会社の事情をよく知っているので頼りになります。企業によっては産業医のサポート業務を担当する産業保健師を置いているところもあり、どちらに相談してもいいでしょう。産業医や産業保健師はストレスへの対処法などもアドバイスしてくれます。また、守秘義務があるので、相談者の許諾がない限り、会社に相談内容が漏れることはありません」(川村医師)
会社によっては社外の機関と連携して、従業員の相談窓口を設けているところもあり、「社外EAP(Employee Assistance Program=従業員支援プログラム)」と呼ばれています。この社外EAPからカウンセラーや心療内科を紹介してもらうこともできます。
主治医に「休職」をすすめられたら、躊躇せずに休む
不調の程度によっては、主治医や産業医から休職をすすめられることがあります。その場合は、指示にしたがうことが賢明です。
「医師は専門家としての立場から、『このまま仕事を続けたら、倒れてしまう』と判断して、休職の指示を出しています。『休んだら、リストラされてしまうのでは?』と心配する声をよく聞きますが、無理をして働き続けると職場でミスが多発し、逆に評価が落ちてしまいます。からだを万全にして復職をするほうが、得策と考えましょう」(同)
なお、企業は医師からの要休職の診断書と本人からの申し出があれば、ただちに、休職を命令しなければなりません(安全配慮義務)。休職は法律上では「解雇の猶予」と位置づけられます。
「わかりやすくいえば、『よくなるまで待っているから、しっかり療養してくださいね』ということ。企業によって定められている休職期間は異なりますが、一つの病気に対して最長1年から1年半というところが多いです。なお、休職期間中は無給としているところが多いですが、健保組合から傷病手当金の支給を受けることができます」(川村医師)