今日は2月22日、いわゆる猫の日だ。そして、古今東西、猫という生き物は人を虜にしてきたようだ。大河ドラマ「光る君へ」の時代にも、愛され方がハンパなかった猫がいた。誰にどれほど愛されたのか。
【写真】猫の産養に子猫は果たして何にゃん出席したのだろうか?
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宮中で猫の「お七夜」
宮中において「猫の産養」が行われたと書き残されている。
記したのは大河ドラマ『光る君へ』で話題の藤原実資である。家系としては藤原道長を凌ぐ家柄に生まれ、その豊かな学識と阿らない人柄から宮廷で重んじられた。
産養、現在で言うお七夜である。「女院」藤原詮子(道長姉)、左大臣(道長)、右大臣(藤原顕光)などの貴人も出席したという。猫のために「馬の命婦」という女官が乳母と定められた。「獣にこんな礼がとられるとは前代未聞」と実資は『小右記』中で苦言を呈している。一条天皇の御世のことである。
当時、中宮(正妃)である藤原定子は実兄の失脚のために後ろ盾をなくし、退出していた。権力者となった藤原道長の長女・彰子はまだ裳着(女子の成人式)を済ませたばかりである。寂しげな一条天皇の後宮で開催された「猫のお七夜」。
天皇家の子女は妃の実家で出産が行われ、産養も同様であった。宮中の産養はかなり珍しい光景で、しかも猫のために催されたのであるから、実資でなくとも驚いた人は多かったろう。内裏で生まれたとあるからには帝の飼い猫か。