ブラジルで開催された世界水フォーラムで、英語で基調講演する皇太子さま(当時)=2018年3月、ブラジリア
この記事の写真をすべて見る

 天皇陛下は2月23日、64歳の誕生日を迎えられる。元日に起きた能登半島地震で取りやめになった一般参賀も予定され、新型コロナ対策の抽選もなく、広く国民から祝賀を受けるという。天皇陛下とご一家の「あのとき」を振り返る(この記事は「AERA dot.」に2023年8月27日に掲載された記事の再配信です。肩書や年齢等は当時のもの)。

【写真】ランドリールームを泡だらけにした英国留学中の陛下はこちら

*   *   *

 海外の王室や賓客を接遇し、世界に適切な情報を発信する役割を担う皇室メンバーにとって、語学力は必須のスキル。しかし、英語のスピーチを聞くと、必ずしも流暢とは思えなかったりする。英語が得意な皇族の中でも英国留学の経験があり、英語に堪能な天皇陛下だが、間近で陛下を見てきた識者が口をそろえるのは、その高い語学力のみならず、コミュニケーションのための気遣いの細やかさだ。
 

“I hope that automatic control continues to contribute to the technologies for appropriate and efficient distribution of water resources around the world.”(世界各地の水資源を適切かつ効率的に配分する技術に、自動制御が引き続き寄与することを期待しています)

 横浜市で7月に開催された、システム制御に関する国際会議に天皇陛下と雅子さまが出席。そこで披露された天皇陛下の英語のスピーチが、ちょっとした話題になった。

「陛下の英語は、抜群に発音が滑らかかといえば、そうとは言えない。しかし、聞き取りやすく、誰が聞いても理解しやすい」

 そう感心するのは、「外交官の『うな重方式』英語勉強法」の著者でもある、多賀敏行・中京大学客員教授だ。多賀さんは外務省から宮内庁に出向し、平成の天皇に侍従として仕えた経験がある。

次のページ