アンディ中村さんの言葉を聞いて以降、若手メンバーが、なぜそんなことを言うかも理解できるようになった。

 平成生まれのメンバーは、生まれた時からパソコンも携帯もあった。比較検討が当たり前だった。

 そして、彼らの価値観には、

「大谷さんは、盛り上がっているけれど、その店に行ってみたら、従業員の態度が悪いかもしれないし、美味しくないかもしれない。行ってから、大谷さんの不機嫌な顔を見るの嫌だよなあ」

 という感情が働いていた。

 それが理解できると、コミュニケーションのとり方も変わってくる。

「ねえ、あそこの店、美味しいかどうかわからないし、従業員の態度が悪いかどうかもわからないけれど、冒険してみょうよ」

 という誘い方になる。

 そんな話をしていたら、ある幼稚園の先生が言った。

「そのとおりよ。それがわかっていなければ、間違って、子どもを叱ることになるんですよ」

「どういうこと?」

 思わず聞き返した。

 彼女が言うには、

「幼稚園の子どもたちが、トイレを流さないの。だから『トイレを流しなさい』と、怒っていたのよ。でも、子どもたちは、キョトンとしているの。そして、ある子どもが言ったの。『どうして流れないの?』って」

 その時、彼女は、初めて気づいたらしい。

「この子たちのマンションのトイレは、自動的に流れるんだ」ということを。

 実際、彼女のマンションのトイレも自動で流れていた。

「なのに、わたし、気づいてなかったんだよね。子どもたちにとっては、その世界しか知らないということを。反省だわ」

 今は、トイレの流し方を子どもたちに教えているらしい。

 わかっているようで、わかっていない人の価値観。

 これからは、楽しく「人の価値観」も研究していきたい。

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