TOKYO FMのラジオマン・延江浩さんが音楽とともに社会を語る、連載「RADIO PAPA」。今回は映画監督、ソフィア・コッポラの新作「プリシラ」について。
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青春映画「リアリティ・バイツ」ではラジオ局志望の女子大生が「君は優秀だがセンスがない」と撥ねられる。感情のメディアのラジオはセンスがモノを言う。僕はそれを磨くため音楽を聴き、小説を読む。映画ならソフィア・コッポラ作品をおいて他はない。とにかくセンスが群を抜いている。「ロスト・イン・トランスレーション」公開で来日の折、表参道にあったラウンジ、モントークで一緒になった彼女のガーリーぶりと言ったら! 浴衣にコンバースという粋に舌を巻いた。
ソフィアの最新作「プリシラ」は、ケイリー・スピーニー演じる14歳の少女が時のスーパースター、エルビス・プレスリーと恋に落ちる。フィル・スペクターがプロデュースしたラモーンズ「ベイビー・アイ・ラヴ・ユー」で幕を開け、毛足の長い絨毯を色鮮やかなペディキュアの両足が歩くシーンに目がくらんだ。