定員割れの大学が続出。
新学期直前まで学生募集に奔走

 さらに少子化の影響は大学をも直撃している。韓国といえば、過酷な受験戦争が有名だ。毎年11月、大学入学試験である「修学能力試験(通称・修能)」では、試験会場に遅れそうになった受験生を警官がオートバイに乗せて送る姿や、英語のヒアリング試験に配慮して、その時間には航空機の離着陸を制限するといったニュースもおなじみになっている。

 学歴へのこだわりが日本以上に強く、進路へのプレッシャーが強いのは昔も今も変わらない。しかし、40代以上の世代が経験した大学受験は「睡眠時間3時間であれば合格、4時間なら不合格」という「三当四落」が当然であった。この世代から見ると、現在の受験事情は、自分たちが経験した頃とは比べ物にならないほど、楽になっていると感じる者が少なくない。

ソウル近郊のトップクラスの大学や医学部など難易度の高い学部を目指す場合は、猛勉強して厳しい競争をくぐりぬけなくてはならないものの、現在では受験生の多くが修能試験を受けず、推薦入学に当たる「随時試験」を利用して進路を決める。随時試験も高校3年間の成績や内申書が重要視されるので甘くはないが、修能試験と比べれば重圧は少ないとされる。

 近年、地方の大学が頭を抱えているのが深刻な定員割れ問題である。例えば釜山市では、市内にある15の4年制大学のうち、2023年度の入学予定者が定員に到達したのは1校のみ。残りの14校はすべて定員割れという結果が発表された。

 国立の釜山大学でも、7人と若干ではあるが定員に満たない学部があった。私立大の中には200~300人単位で定員割れになっているところもあり、近い将来、廃校になる大学が続出することになるだろう。

 定員が集まらない大学は、新年度前日の2月28日まで学生の追加募集を呼びかけていた。大学を選ばず、大卒の資格のためだけに大学に行くのであればどこでも入れるということだ。しかし、ただ「大卒」という学歴を得るためだけにどこでもいいから大学に行くことに意味はあるのか?と思わずにはいられない。

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根本的な施策が打てていないのは、日本も韓国も同じ